今日は、JRの「青春18きっぷ」夏用の発売開始日。
青春18きっぷ(以下、18きっぷ)は、JRの普通列車に乗り放題の超お得な切符。
今日はこの愛すべき切符について書きたい。
【 概 要 】
対象列車は、JR各社の普通・快速列車など乗車券だけで乗れる列車。
(他に細かいルールはあるけど)
18きっぷの1回分で1人1日乗り放題。
5回分セットが1枚券片になり価格は12,050円。
1回あたり約2,400円と格安だ。
1人で5日間、5人で1日などいろいろな使い方ができる。
名称とは裏腹に、年齢制限はない。
利用期間になれば、地方の駅で利用者らしい人を見かける。
それも、どちらかというと中高年が多い。
2024年夏の18きっぷは、
発売期間 7月10日~8月31日
利用期間 7月20日~9月10日
となっている。
【 歴 史 】
1981年、国鉄(現在のJR)は熟年夫婦向けの「フルムーン夫婦グリーンパス」を発売、大ヒットする。
次は青少年向けを、ということで翌82年3月に「青春18のびのび切符」を発売。
↓ 当初のイメージはこんな感じか
これは、1日券3枚と2日券1枚のセットで 8,000円。
当時は切符の綴りを1枚ずつバラして使用できた。
有効期間は3月1日~5月31日。
春休みやゴールデンウィークに使えるものだった。
同年夏季には、1日券が1枚増えて1万円に値上げ。
1983年春季に、現在の「青春18きっぷ」に改称。
改称の理由は、元の名前が「いかにも子供向きの名前なので」
またゴールデンウィークが利用期間外に。
1984年、夏季には1日券5枚綴りに変更。
また冬季分が販売され、現在の年3回販売が確立。
当時は青少年の利用者が多かったが、徐々に主婦や中高年にも人気になり、売上を伸ばす。
1996年、5回分を1枚の券片にまとめた形に。
使った回数だけ、使用開始時に駅員が捺印する。
金券ショップでのバラ売りができなくなった。
(と言うか、バラ売りする方法が変わる)
この変更は、愛用者にとってショックを与え、反対運動も起きた。
変更の理由は、「最近は学生さん以外の利用者が増え、正規料金がもらえるはずの人たちが使っている。改訂は本来の利用をお願いするため」としている。
【 利用者 】
しかし、2001年の朝日新聞では、利用者は「19歳以下が99年度には約12.5%に。代わりに50歳以上は35.8%に伸びた」としている。
その後、JR在来線の廃止や民間への移行などで18きっぷの利用可能区間が縮小された。
また、飛行機の特割・早割りや、夜行バスの拡充など、格安旅行の分野で18きっぷのライバルが増えた。
2009年から11年に千円高速が実施された時期には、18きっぷの販売数は大きく落ち込んだ。
それでも現在、年60万枚以上売れているらしい。
利用法としては、2022年に「乗りものニュース」がアンケートした結果、半数近くがいつも1人で利用してきたと回答している。
また、日経新聞2016年3月31日付によれば、廃線が決まっているローカル線の乗客は、中高年の18きっぷ利用者が大部分だったということもあった。
↓ 現在のイメージはこんな感じか
発売当時の若者は、40年経って中高年になったが、このように18きっぷを利用し続けている人もいるだろう。18きっぷ発売の目的は、
「若いときに鉄道で旅に出る習慣を身につけ、年を取っても鉄道を愛用するファンを増やすのが狙いだった」とのことです。
https://tabiris.com/archives/seishun18-16/
そういう意味では、18きっぷ企画者の狙いは当たったものの、中高年になっても格安チケットを愛用するとは、皮肉な結果になったとも言える。
【 廃止の噂 】
18きっぷは、ライバルが増えるとともに廃止の噂が囁かれた。
しかし、18きっぷの費用を考えると、利用者が増えても追加費用はほとんどない。
販売手数料や広告費も少ないため利益率は高い。
利用者から見れば格安であると同時に、JRから見れば高収益商品である。
地方の赤字路線維持が18きっぷの売上げに貢献しているという考えもある。
路線維持のため、18きっぷは値上げの可能性はあるが、廃止はないと私は考えている。
以上のとおり、18きっぷの「国鉄(JR)全線乗り放題、年齢制限なし」というコンセプトは今も変わらず、様々な利用者に愛用されている。
(つづく)