そこはかとなく

日常の記録や気付いたこと、調べたことなどを書いています。

タケノコも子供の頃の思い出もほろ苦い

私には姉が1人いる。
私が小学校2年の時、姉の同級生のA君が姉を遊びに誘った。
それまで、姉も私もA君と遊んだことはなかった。
今思えば、A君は姉のことが好きだったのかもしれない。
姉は、私も一緒に遊ぶことにしていた(おじゃま虫)。
A君はスポーツマンで物静かだった。
A君は放課後うちに来て、すぐに3人で近くの畑に行った。
田舎だったので他に遊ぶところがない。

山道を少し上がったら、小さな竹林があった。
4月だったので、タケノコがたくさん生えていた。

A君は、いいところを見せようと思ったのか、タケノコの1つを取りにかかった。
タケノコは既に60cmも伸びていて、とても食べられそうにないものだった。
それに、近所の人の竹林だった。
勝手に竹林に入っただけで叱られる。
竹林の持ち主は、うちの近所の婆さんだった。
ちょっと面倒な人だった。

それで、姉と私は、タケノコを取るのを止めるように言った。
A君は言うことを聞かなかった。
伸びすぎたタケノコを足で蹴ったりして取ることに成功した。
その後A君は私たちと別れて、タケノコを学校に持って行った。
勇者になったつもりだったのか?

それで皆が知るところとなり、翌日、騒ぎになった。
持ち主の婆さんも、翌日早朝から姉と私が盗んだと近所に言いふらした。

翌朝、姉と私はいつも通り一緒に登校した。
小さな小さな小学校だった。
私たちが校門を入ったら、校庭で遊んでいた生徒が大勢やってきて、私たちを取り囲んだ。
「おまえ、タケノコを盗んだな!」
姉は反論した。A君だけがやったことだと。
A君の母親は学校の先生だった。
田舎の先生は特に尊敬されている。
皆は納得していなかったが、人の輪はだんだんと小さくなった。

夕方、A君の母親と私の母親が一緒に菓子箱を持って竹林の持ち主に謝りに行った。
婆さんの誤算は、先生の息子が関わっていたことだ。
婆さんが驚いて言った。
「まあ、まさか先生まで来られるとは!
 タケノコはどうでもいいんですよ。
 ただ、あの辺りにはよく野犬が出るんです。
 子供が行くのは危ないから、皆に気を付けるよう言ったんですよ。
 先生にわざわざ来ていただくとは申し訳ない・・・」
あとは、婆さんと先生とで和やかに雑談し、私の母親は完全無視されていたそうだ。
私は竹林の近くでよく遊んでいたが、犬を見たことは一度もなかった。

以降、家が遠いA君とは遊んでいない。
先生は穏やかで平等・公平ないい先生だった。
母親は時々思い出してぼやいていた。
姉と私は、大人の社会について1つ学ぶことができた。

When the night has come ・・・
So daring, daring, Stand By Me ・・・