イスラエル人の子だくさんが羨ましい

日本は少子化に悩んでいるが、イスラエルは子だくさんだ。
出生率は3.0。
人口を維持するのに必要な2.07を大幅に上回る。
OECD諸国の中では2位(トルコの1.9)に大差をつけてトップだ。
(それでも全世界では60位)
子だくさんの理由を調べてみた。

イスラエルには、他国にはない特殊事情がある。
〇 ユダヤ教の教え
イスラエル人の約74%がユダヤ人。
ユダヤ教では、子供をたくさん持つことが旧約聖書の神の戒律に従うことと信じられている。
「産めよ、増えよ、地に満ちよ」ということだ。
そのため、ユダヤ教の超正統派に限れば出生率は6.6だ。
それだけではないが、子だくさんが支持される背景になっている。

〇 人口増加圧力
イスラエルユダヤ人の国だ。
その他は主にアラブ人(約25%)。
アラブ人も子だくさんだ。
アラブ人のほうが多くなると、アラブ人の国になってしまう。
ユダヤ人はこれを心配している。
また、ユダヤ人にはホロコーストをはじめとする迫害の歴史があり、子孫を増やす必要性を共有している。
だから、ユダヤ人夫婦には子供だくさんの圧力が強い。

〇 政策
以上の背景をふまえ、国が人口増加に力を入れている。
不妊治療は早くに開始され、世界的に技術が高い。

〇 大家族志向
子供は親の家の近くに住み、休日は大家族で過ごすことが多い。
育児にも共同で分担して取り組むことができる。

〇 社会的慣行
父親が積極的に育児をする。
託児所はすぐ見つかる。
ベビーシッターを雇うのは普通のこと。

なお、児童手当が多いとか、産休が長いわけではないようだ。
児童手当は1人数千円、産休は有給・無給それぞれ3か月という。
ここで、先週の韓国のニュースを思い出した。
国が税金を使って少子化対策をしてきたのに、出生率は0.72だ。

まとめると、
・社会的に多産への圧力が強い
・国や社会の育児支援が充実している
・家族や夫の支援が大きい
ということになるだろう。
金銭的支援はあまり関係ないようだ。

日本が学ぶとすればこれらの点であろう。
・出産・育児は国民の義務という意識の醸成
育児支援も家族や社会の義務という意識の醸成
育児支援制度の充実
といった施策をとればよい。
やはり国民の意識の問題だ。
戦時中の「産めよ増やせよ」というスローガンと同じだ。

つまり、価値観が多様化する現代ではこのような意識の普及は非常に難しい。
ユダヤ人でも、全員が子だくさんを望むわけではない。
子だくさんを負担に感じる人も結構いるらしい。
ユダヤ人のような特殊事情がない日本人では、子だくさんは更に難しいだろう。