株価と煙の動きは似ている?

(今回は難しい内容です。間違っていたらご免なさい)

煙の粒はふらふらとランダムに動く。
これは煙の粒に周りの空気分子がぶつかるためで、ブラウン運動と呼ばれる。
この運動は微分方程式で記述できない。
記述できたら次にどう動くか予測できるのだが。

しかし次の瞬間、大きくは動かないだろう。
少しだけ動く可能性が高い。
だから煙の動きを確率的に予測することはできる。
投げたボールの動きは微分方程式で記述できる。
それと同じように、煙の動きは確率微分方程式で記述できる。

確率微分方程式の基礎を作った一人は日本人数学者の伊藤清氏だ。
これを解くための「伊藤の定理」も発見した。

一方、海外では、昔から株や債券の価格を予測できないか研究していた。
これを解いて儲けてやろうということだ。
しかし予測はできなかった。(そりゃそうだ)

1960年代にある研究者が確率微分方程式を探し出した。
煙の粒も株価もランダムに動くから似ている。(いい加減な説明?)
そうして難しいことを考えてできたのが、ブラック・ショールズ方程式だ。
そこから株価などを予測する金融工学が発展した。
発展に貢献したショールズ氏とマートン氏は1997年にノーベル経済学賞を受賞した。
(ブラック氏は1995年に亡くなった。残念!)
ショールズ氏は、確率微分方程式を発展させた伊藤氏に敬意を表している。

ある時、伊藤氏は経済学者の会合に招待された。
経済学者の間でも有名だったようだ。
伊藤氏は、自分が招待された理由を理解していなかったと思われる。
伊藤氏が会場に入ると、大変な歓迎ぶりであった。
それを制して伊藤氏は言った。
「私は経済学の発展に貢献した覚えはない!」
何とも微笑ましいコメントではないか。

伊藤氏は、1938年に東大数学科を卒業して昔の大蔵省に入省し、銀行局などで働いた。
5年で退官後、京大などで確率論の研究に取り組んだ。
そして知らぬ間に、金融工学の発展に著しく貢献した。
自然科学と金融とを行き来する人生だったと言えよう。

一方、ショールズ氏とマートン氏は、ノーベル賞受賞前に、知人に頼んでヘッジファンドを設立してもらい、その顧問になった。

当初、ファンドは儲かり、両氏がノーベル賞を受賞したこともあり多くの資金を集めた。
しかし、暫くして運用に失敗して倒産した。
ロング・ターム・キャピタル・マネジメント社(LTCM)のことである。
日本の企業では、昔の住友銀行が多額の損失を被った。
ノーベル賞級の理論を活用しても、必ず儲かる訳ではないようだ。