今年のゴールデンウィークは10連休を取れた。
10連休の8日目になると、曜日が分からなくなる。
今日は土曜日だった。
GWの土曜日と言えば、若い頃お世話になった人を思い出す。
当時、私は事業所の設備を発注する仕事をしていた。
5月が発注期限であり、設備の仕様を詰めていた。
初めての仕事だったのではかどらなかった。
設備のメーカー各社さんに質問しまくって、GW前に仕様がほぼ固まったが、まだ詰めるところがあった。
メーカーさんも心配していたらしい。
焦っていた私は、GWの土曜日に出勤して仕事をした。
どうしても分からないところが出てきた。
あるメーカーさんに50歳くらいのAさんがいた。
Aさんは何でも知っていて何でも教えてくれた。
おそらく自社に不利なことまで教えてくれた。
今日はGWなので、Aさんも休んでいるだろうなあと思ったが、藁をもつかむ思いで電話してみた。
そしたら、Aさんは出勤していた。
電話に出てくれた。
私から、Aさんは休まないのかと尋ねたら、GW明けにする仕事が溜まっていたので出勤したとのこと。
おそらく嘘だろう。
私が切羽詰まっているのを知っていて、念のため出勤してくれたのだろう。
Aさんはそういう人だった。
Aさんの予想は当たった。
私はAさんに電話をかけたのだった。
おかげで疑問は解決して、5月中に設備を発注できた。
設備は競争発注だったが、Aさんの会社が受注した。
私は内心喜んだ。
これまでさんざんお世話になったAさんの会社に受注してほしかった。
翌年は、Aさんの会社と設備の工事について調整していた。
そのとき、担当がAさんから別の人に代わった。
私は理由を尋ねた。
Aさんは亡くなったそうだ。
ある暑い日、Aさんは出勤してすぐに気分が悪くなって早退し、そのまま自宅で亡くなったらしい。
まだ若かったのに。。。
おそらく、Aさんは、私にしてくれたように皆に丁寧に対応するのだろう。
それが積もり積もって過労になったのではないか?
私の喪失感は大きかった。
しばらくぼんやりしていた。
しかし、そのうち、この設備の仕事はきちんと仕上げたいと思うようになった。
それがAさんに報いるただ1つの方法だったから。