大人になってから克服したもの

今週のお題「大人になってから克服したもの」

それは、人前でしゃべること。

子供の頃は、大勢の人の前では緊張してしゃべれなかった。
普通の授業とか、会議とかではなくて、運動会とか、弁論大会とか。
ダメなのに無理やりやらされた。
知らない人が大勢いる前でスピーチや挨拶をするのは地獄だった。
足がガクガクするし、声がうわずるし。
特に、マイクを使うのはきらいだった。
自分がしゃべってしばらくしてからスピーカーの声が聞こえてくる。
肉声とスピーカーの声と両方を聴いていたら頭が変になった。

大人になるとマシになった。
それまでに人前でしゃべる機会がいろいろあったから場慣れしたのだろう。
学校や塾の講師、研究発表会、結婚式のスピーチや飲み会の司会など。

それでもまだ十分ではない。
特に、定型的な挨拶が苦手だ。
「本日は、お足元の悪い中、たくさんの会員の方にご参集いただき・・」
とか言うもの。
それも予習しておけば何とかなるようになった。

一度、急に振られたことがあった。
地域の代表者を集めた会合だった。
市長なども来ていた。
予定では、座って聞いているだけでいいはずだった。
何も考えていなかった。
会場に行ったら、事務局から「〇〇を代表して挨拶してください」と言われた。
代表でも何でもない下っ端なのに。
代表にふさわしい人が皆、来られなくなったようだ。
断れそうにない。
順番を聞いたら、あと10分しかなかった。
思わず悲鳴を上げた。
誰にも邪魔されないようトイレに駆け込んで、そこでネタを作った。
何とかごまかせた。
それを乗り切れたことで、だいぶ度胸がついた。

以降、自分の出番がない会合などでも、もし振られたらあれを言おうとか考える癖がついた。
今はそんな機会もなくなったが。
やはり、人前でしゃべるには、経験を積むことだ。
中身は当たり前のことでいい。
そんなことを考えながら、最近の政治家がしゃべることを聞いている。