少子化が部活動に与えた影響を調べていたら、銃剣道という部活動があった。
普通の剣道とは異なるらしい。
調べてみた。
明治時代にフランスから西洋式銃剣術が伝来した。
小銃は連射できなかったため、銃先に剣を付け、これで接近戦をするための武術。
これに日本の槍術の心技、剣道の理論等を合わせ、日本人向けに改良されて銃剣道が成立した。
銃剣道では、竹刀の代わりに木銃(もくじゅう)を用いて相手と突き合う。
競技者は、剣道のような防具を身に付ける。
打ち技は無く、相手の木銃を払う技以外は禁止。
試合で一本となる主な有効突き部位は、
・相手の左拳の上部から左胸部を突く「上胴(うわどう)」
・相手の左拳の下部から左胸部を突く「下胴(したどう)」
・相手の喉を突く「のど」。
そのほかに、
・相手の姿勢が崩れた時に突く「左肩」や「正面胴」
・相手が左腕で左胸部を隠した時に突く「左小手」も有効
競技人口3万人の大半が自衛官。競技団体の幹部も元自衛官だ。
10代の競技者が少なく、競技人口は増えない。
部活がある中学校は、清風学園清風中学校・高等学校(大阪府)など僅かだ。
銃剣道は、中学校学習指導要領で、武道の種目の一例に明記されている。
2017年、体育の授業に取り入れることに関していざこざがあった。
その時点で授業に取り入れていたのは、平塚市立土沢中学校(神奈川県)のみ。
その市民団体が銃剣道の採用中止を求め署名活動を行った。
その署名は平塚市長に提出された。
「人を殺す目的が原点の競技。平和教育とは相いれない」と批判。
一方、学校側は、
「武道を通して他人を愛する気持ちを育てている」
と主張した。
その後も、一部の武道推進モデル校で銃剣道の模擬授業が行われている。
銃剣道は、戦前には戦闘の技術を磨く訓練として軍事教練でも用いられていた。
競技で使う木銃は小銃(ライフル銃)の形をしている。
剣道で使う丸っこい竹刀とは印象が異なる。
現在はスポーツにデフォルメされているが、中途半端だから批判を浴びやすい。
競技者の大部分が自衛隊員では、なおさら誤解される。
中学校の部活動に関する記事でも書いたが、最近は部活動で武道(柔道、剣道、相撲)を選択する生徒が激減している。
この20年程度で部員は約4割になっている。
国民にとって武道が大切というのであれば、各競技団体は生徒に受け入れられるよう、競技の練習環境や運営方法を見直す必要があるだろう。