SF小説「三体」を読んだ
劉慈欣氏のSF小説「三体」について。
世界で2000万部を超えるベストセラーということで、遅ればせながら読んでみた。
ⅠからⅢまでで3000ページを超える大作だ。
小説は、物理学や天文学の知識を活用しながら、数百年にわたる地球の危機や異文明との交流を丁寧に描いているだけでなく、危機に瀕した人類がどのように考え行動するか考察している。
さもありなん、と頷くことも多かった。
ちょっと長いけど、一読の価値がある作品だろう。

印象に残ったことを2つ書きたい。
1つ目は、Ⅱに出てくる暗黒森林理論。
宇宙には複数の文明があるらしい。
他にも文明があると知ると、疑心暗鬼になる。
他の文明がどう思っているかは分からない。
もしかして他の文明が自分を攻撃してくるのではないか?
相手もそう思っているかもしれない。
だったら、自分が先に攻撃して相手を滅ほすのが良策と考える。
宇宙では他の文明に気づかれないよう、息をひそめていなければならない。
という理論に基づき、話が展開する。
これは、世界の核保有国の思惑と似ている点と異なる点がある。
核保有国は他国を核攻撃できるし、攻撃される可能性もある。
他国がどう思っているかは分からない。
自国が先に攻撃すれば優位に立てる。
だが、先制攻撃すれば確実に報復攻撃され、自国が多大な損害を被る。
だから先制攻撃はできない。
(ミッション インポッシブル/ファイナル・レコニングでも先制攻撃の問題が出てくる)
宇宙の暗黒森林理論では、文明によって攻撃力が全然違う。
また、攻撃してから相手に被害が出るまでに何年もかかるという点が異なる。
その間にドラマが展開する余地がある。
2つ目は、人の評価。
作品の中に優れた人物が何名か出てくる。
彼らは人類を救うために活躍し、その結果が明らかになると、神と崇められたり貶められたり評価が目まぐるしく変わる。
大衆の評価だけでなく、国のような公的機関の評価も著しく変化する。
作品の最初は文化大革命の話。
それまで権威があった人、尊敬されていた人が革命で最底辺に貶められる。
その後、何十年、何百年経っても、同じような「再評価」「毀誉褒貶」が起こる。
日本ではここまで激しくないと思われる。
中国社会の1つの特徴なのだろうか?
文化大革命に象徴される再評価が1つのサブテーマではないかと思った。