頭木弘樹 編「絶望書店」
以前、sanmei_terukiさんがブログで 頭木弘樹 編「絶望図書館」を紹介されていた。
「絶望図書館」を読了しました。 - ある日の中年
勝手に引用してすみません。
図書館に頭木氏の「絶望書店」があった。
読んでみたらとてもよかった。
サブタイトルは「夢をあきらめた9人が出会った物語」
印象に残った作品を3つ紹介したい。
[チャンスが巡ってこなかったと思いますか?]
人生に隠された秘密の1ページ(ナサエル・ホーソン)
旅の途中、主人公は疲れてしまい、道端の木陰で昼寝する。
そのそばを様々な人々が通り過ぎる。
人々はそれぞれ、チャンス、恋愛、危機をもたらそうとする。
だが、主人公は気付かずに昼寝を続け、結局、何も起こらない。
やがて目を覚ました主人公は、これまで通り旅を続ける。
人生で千載一遇のチャンスを逃してしまった、自分は運が悪いと嘆く人は多いが、逆に命にかかわる危機もうまくかわせている。
しかも、チャンスにも危機にも全く気付くことなく。
それが普通の人の人生だと気づかせてくれる。
[夢をあきらめるには何をしたらいいのでしょうか?]
紅き唇(連城 三紀彦)
老婦タヅは長女の家族と暮らしていたが、仲が悪かった。
それで次女夫婦と住む運びになったが、次女は亡くなった。
次女の1周忌に、タヅは次女の夫のアパートに現れた。
次女の位牌を守りながら、この34歳年下の男と一緒に暮らしたいと言う。
男は暫くタヅと一緒に暮らすことにした。
タヅはなぜ懸命に男の世話をするのか?
なぜ男の縁談を邪魔するのか?
そしてタヅはこの暮らしと自分の心のけじめをどう付けるのか?
思い出に生きる老婆の悲しくも心温まる話。
編者の頭木氏が言うように、葬式のような儀式を行う意義を考えさせてくれる。
なお「紅き唇」は「ゴンドラの唄」の歌詞。
この曲は多くの人がカバーしているが、私は藤圭子が渋く渋く歌うのが好きだ。
https://www.youtube.com/watch?v=LXUuKmuKn4w
[夢が重荷になったことはありませんか?]
肉屋の消えない憂鬱
-カンプノウの灯 メッシになれなかった少年たち-より
名門サッカーチームのFCバルセロナ。
その下部組織に13歳で入団したフェラン・ビラの実話。
少年はメッシと同じ年に入団し、その才能を目のあたりにする。
フェランも将来有望だった。
だが郷里の期待に応え、試合で活躍する重圧に耐えられず、鬱になり1年で退団する。
現在は父親の肉屋で働いている。
サッカー少年へのメンタルケアの必要性を実感し、下部組織でプレイしながら少年の指導もしている。
彼は生きているが、1年後に入団したドイツ人少年は後に重圧で自殺した。
これは現代の「車輪の下」(ヘルマン・ヘッセ)ではないか?
一見、健康的で華やかなスポーツだが、実情はだいぶ違うようだ。
優秀な人材を潰さぬよう心のケアが必要だ。
