サザエさんの視聴率と株価は関係あるのか?
先週、「歩くのが速い人は年収が高い」は誤解を招くという記事を書いた。
今回は統計上の誤りの話になる。
2005年の大和総研の報告書に、テレビの「サザエさん」の視聴率が上がると株価(東証株価指数)が下がり、逆に視聴率が下がると株価が上がるという話があった。
これは、当時のチーフクオンツアナリストの吉野貴晶氏が書いたもの。
その後、同氏は他の話とまとめて「サザエさんと株価の関係」という本を出した。
2年半の調査期間には、視聴率と株価のグラフに「相関関係」はあるらしい。
その意外性からこの報告書は話題になり、本も結構売れた。
同氏の名前も売れた。
吉野氏は、その「因果関係」について以下のように説明している。
サザエさんの視聴率が高い日曜日は、夕食時に自宅にいる家庭が多い、つまり在宅率が高いということです。その時間に、レジャーを楽しんだり、買い物をしたりなど、消費にお金が回っていないということは、景気や株価にはネガティブとなる傾向があるということが理由です。

本当だろうか?
日曜日に外出しないとしても、それが景気に与える影響はどれほどか?
かなり少ないのでは?
もしこれが本当であれば、レジャー関連銘柄の株価が大幅に下がり、逆に巣ごもり関連銘柄の株価が上がるのではないか?
視聴率と株価の因果関係は薄いように感じる。
後日、専門家が報告書の調査期間より後の期間を調査したら、相関関係はなかった。
調べるまでもなく、株価は2000年代初めのITバブルや2011年からのアベノミクスで上がり、リーマンショックやコロナ禍の初期に下がった。
一方、サザエさんの視聴率は、1980年代後半のバブルの頃から現在までほぼ一貫して下がっているようだ。
ということで、サザエさんの視聴率と株価の相関関係も因果関係も否定されている。
残念なのは、これらの関係が否定されたのに、その後も蒸し返されたこと。
ネットではゾンビのように何度も生き返っている。
他の専門家が関係を否定しているのに、吉野氏本人が蒸し返している。
上の引用部分は、2017年に同氏が書いた報告書の一部だ。
証券アナリストとは何をする人なのだろうか?
株を買うときは、何を信じるのか、自分で確かめて判断するしかないだろう。
某社のネットの記事を信じて株で大損したおっさんより。