歩くのが速い人は年収が高い?

だいぶ前の話になるが、ネットでこんな記事が多く見られた。
「歩くのが速い人は年収が高い」
今でもそう信じている人がいるようだ。
そう聞けば、個人の歩く速度と個人の年収の間に「因果関係」があると思う人もいるだろう。

実際、因果関係があるかのように説明するサイトがある。
速く歩く人はせっかちで、仕事も速く片付けるので評価が高いとか。。。

もし本当であれば、速く歩くようにすれば年収が上がる可能性がある。
これは何かおかしい。
ということで、相関関係と因果関係が違う例を紹介したい。
(↓ 右の人の上着がおかしい)

この情報元は、ドコモ・ヘルスケア社の記事だ。
2016年に同社が「ムーヴバンド3」を使って調査した。
この器械は、歩行速度がある値を超えると「早歩き」と判定する。

その「早歩き率」を都道府県別に示した図が①。
色が濃い都道府県ほど早歩き率が高い。
https://xtech.nikkei.com/dm/atcl/news/16/102804764/?SS=imgview&FD=-1099026626

同社は、年収の調査結果と合わせて、歩くのが速い人ほど年収が高いと報告している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000016519.html
(データ間に「相関関係」はあるようだが、因果関係とは異なる)

①の早歩き率の図によれば、早歩きなのは、関東、関西、中部地方であり、東北、中国、四国、九州地方は低い。

年収が高い・低い地方もほぼ同じだ。
以下のサイトによれば、年収が高い都道府県の10位までは、東京、愛知、大阪とその近隣府県が占めている。
https://gentosha-go.com/articles/-/42074

両者の分布はよく一致しているが、個人の歩行速度と個人の年収の間には因果関係はなさそうだ。
都会では、早歩きの人が多く、また平均年収が高い」だけだろう。
これは個人の特徴ではなく、地方の特徴だ。

理由を考えてみた。
・一般に、田舎より都会のほうが年収は多い。(③)
・また、都会では通勤で歩く時間が長い。
(田舎では車でドア・ツー・ドアの人が多い、
 最も通勤時間が長いのは神奈川県)
・通勤中は早歩きすることが多い。
だから都会では通勤中に早歩きする人が多い。

それだけのことだろう。
もし歩行速度と年収の間に因果関係があると言うなら、特定の地域、例えば東京23区で再調査してほしい。
おそらく、相関関係もないのではないか?

このように、相関関係と因果関係は違うものになる。

また面白いデータがあれば紹介したい。